第一章 目覚め

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スマホから大音量の音楽が響く。 心地の良い夢の世界から、現実世界の冷え切った部屋へと引きずり落とされた。 目を覚ますのと同時に気分は最悪になる。 眠気が強く、体がまだ布団から出るべきじゃないと訴えてくる。 けれど、今日は生憎の平日で、これから学校に行かなければならない。 鉛のように重たい上半身を持ち上げ、冷気にさらす。 「さむっ」 部屋のストーブにスイッチを入れ、その場で待機した。 「由美ー、ご飯できたよー」 お母さんの呼ぶ声と、パンの焼ける香が漂ってきた。
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