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後涼殿にて。庭には夏の花が鮮やかな色で咲く。
「へぇ、紺と緑の中間色に百合の柄。」
ミヤの反応も悪くない。
長椅子に座ったミヤの元に近づく。
ミヤがリーナの両手にそっと触れる。
「みんなから、つがいの片割れとして注目が集まることをどう思う?」
ミヤがリーナを見上げる。
「本当なら、皇妃に向けられる関心がリーナ一人に集中するかもしれない」
ミヤの不安げな目。
きっと、これは、主上もミヤもわかってたこと。
両手を包んでるミヤの両手ごと、自分の目の前に持ってくる。
「ミヤ」
名を呼ぶ。本名はまだ教えてもらってない。
「あたしの目、好き?」
ゆっくり目をつぶる。
「初夏の澄んだ青い空の色」
深く心に響く。
幼いミヤの声で覚えていた響きを、深い声で新たに響きを心に刻む。
ゆっくりと目を開く。やさしく両手を包む、ミヤの両手。
ゆっくりとミヤの指にキスをする。
ちゅ。
「大丈夫」
乗り越えれそうな気がする。
「そう」
あれ?ミヤとの視線がズレてる。
気になって後ろを振り返る。
「アマツ」
ミヤが弟宮の名を呼ぶ。
「"一応、ここは御所なんで"」
ミヤが微笑む。
「"ほんと、そういうことやめてください"」
リーナが微笑む。
主上もつられて微笑む。 ぎこちなく。
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