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中学の衣替えで夏服になる頃は、大体いつも梅雨で少し肌寒いはずなのに、今年は異常気象で既に夏そのものである。
南衣は、汗をかきながら、学校の近くの神社に向かう。期末テストが終われば夏休みである。
夏休み…
…楽しみである。
学校がない分、自由時間が増え、夏特有のイベントもあるだろう。
まだ、何も決まってないが。
顔が緩む。
いつもの鳥居に向かって歩いていると、
きれいな女性が灯籠の近くに立っているのが見えた。
本宮(もとみや)さんだ。
今日は彼女一人ではない。隣に同級生だろうか。少年がいる。
この間見かけた時も、待ち合わせだったのだろうか。
ちらっとしか見ていないのに、少年が気づいてこちらを見る。
つられて本宮さんもこちらを見る。
南衣はペコリとお辞儀して、足早に鳥居に向かった。
「誰?あの子」
少年が隣に立つ少女に聞く。
「最近、よく見かけるのよね」
鳥居に向かった少女はもう見えない。
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