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ミヤが夕食をキイズ家で取ることは、習慣化されていて、どんなに遅くても、ご飯は食べにくる。
食べたあと、東宮御所に帰るのか、御所に戻って仕事なのかはわからないけど、しつこく聞くことはなかった。
体調さえ良ければ問題ない。
一般官吏は就業規則もあり、徹夜なんて無理だが、東宮でもあるミヤは、御所で徹夜なんて珍しくないらしい。主上を支える臣下のトップでもある。
お風呂上がりに、リビングでくつろいでいると、ミヤが帰って来た。
「疲れた」
と言って、抱きついてくる。
「お帰りなさーい」
昼間の脅迫をすっかり忘れて、ミヤにすり寄る。
「ちょっと寝かせて」
と言ってそのまま、リーナの膝に頭をのせる。
あっという間に、寝息の音。
静かに深く。
ご飯も食べずに。
軽く髪をすいて、整える。
きれいな顔立ち。
つがいの片割れを諦めて、誰かを選ぶこともなく。
つがいの片割れのぬくもりもなく、いません。と通してきたことは、簡単なことではなかっただろう。
もともと、将来は村長夫人としてやっていくつもりだった。
今さら。
ミヤが決めることに反対する気はさらさらない。
「あら、寝ちゃったの?」
ママが気づいて、のんきに言う。
そうみたい、と、ミヤの肩から指先まで軽く撫でる。
ミヤの側に居ることができるなら、肩書きなんて何でもいい。
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