318人が本棚に入れています
本棚に追加
親友の好きな女―――
細く華奢な体つき。
肩までの黒髪から、両耳がちょこんと出てる。
整った顔には大きな黒い瞳と薄いくちびる。
いつもひとりでいて、友達がいない。
その友達がいない女のいつもそばにいるのは、俺の親友ひとりだけ。
「あいつさ、俺がいないとダメなんだよ」
親友の佑は笑って目を細めて女を見てる。
モテる佑が特定の彼女を作らないのはそういうわけがある。
佑の隣の家に住む幼馴染み。
でも単なる幼馴染みには思ってないことくらい佑の目を見ればわかる。
高校に入学してきた時に、みんながいる前で前髪を直してやったその時から、佑の特別なんだと気づいた。
生徒会長でスポーツ万能の人気者の佑。
頭も良く誰にでも優しく、見た目も完璧で、それでいて野郎にも人気があった。
「おまえは顔はいいんだからもっと愛想良くしろよな。女にモテねぇぞ、狼」
最初のコメントを投稿しよう!