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第10章 純白とマドンナ(続き)
「美沙ちゃん、よく見せて」
明かりのない部屋で、わずかに欄間から差し込む
ほんのりとした月明かりの中へと私を誘うと、
彼は、私をじっと見詰めた。
「どうしたの? 急に。なんだか……」
あまりにも熱い彼の眼差しに、思わず頬が火照ってくるのを感じる。
しかし、それでも彼は視線を逸らすことなく、生真面目な声でこう言った。
「だってさ、眼鏡取っちゃうと、
どんなに近くでも、やっぱり多少ぼやけちゃうんだよね、美沙ちゃんの顔」
ほら。
そう言いながら、眼鏡を取って近くのチェストに置く。
それから再び顔を寄せてきて啄むようにキスをしつつ、
ゆっくりベッドへと私を連れて行った。
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