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お母さんと2人で暮らし出してから、日記を書くのがわたしの日課となった。
お母さんが亡くなる前、字を書けなくなるまではお母さんとずっと『交換日記』をしていた。
お母さんは看護師をしていて、夜勤も多かったから交換日記でお互い、今日何があったかを報告し合っていた。
…お母さん、看護師のくせに自分の病気に気がつかないなんて看護師失格ね、なんて笑っていたっけ。
笑いながらお母さんの目には涙がうかんでいた。
自分がもう数ヶ月しか生きられないって事がはっきりと分かっていたからかもしれない。
5年間のお母さんとの交換日記のノートはわたしにとって宝物の1つだ。
そしてもう一つ…。
小学3年生の時にシオくんからもらったピンクのクマさんのお人形。
『ナナちゃんのことを思って選んだから、ナナちゃんのお部屋の一番目立つところにずーっと飾ってほしいな!』
そう言ってシオくんがくれた、可愛いクマさん。
わたしにとってシオくんとわたしの思い出の詰まったかけがけのない宝物だ。
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