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「うん……。そうだよね」
確かに彼らは身勝手だ。
自分たちの思い通りにいかないとすぐに癇癪を起こす。
その上、自分たちのストレスを別のものにぶつけてくる。
その犠牲になるのは彼らよりも小さきものたち。
彼女はその代表のようなものだった。
「我々はただ静かに暮らしていたいだけなのに。あの者たちは私たちを脅かす。我々が何をした?昼は寝ているところを邪魔され、追い掛け回される。夜になり狩りへと出かければ突然目を焼かれ、次の瞬間にはその身が砕かれる。一体、どれだけの同胞が同じように死ぬ様を見てきたことか……」
悲しみのあふれるその言葉に私は自分の胸が少しだけ痛むように感じた。
「あの者たちは我々から本能を奪い、言葉を奪い、最後には信頼すら裏切ります。その上、あの者たちは自分たちが為出かしている事に気付きもしない」
その目には死にかけているということすら忘れさせる位の炎が浮かんでいる。
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