ネコのコトノハ

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「あの者たちは悪なる存在でございます。我々から様々なものを奪い、我々を脅かす。あの者たちは我々の同胞を閉じ込め、飼い慣らし、不要となればどこへなりと捨てて行く。私は数多くの捨てられた同胞を見てきました」 そして、彼女は怒りを込めた口調で目を見開く。 「私の住んでいた土地には多くの捨てられた同胞がおりました。私は彼らに狩りを教え、生きる術を教え、育ててまいりました。しかし、その中の多くは狩りを覚えようとはしないのです」 そこで一旦、口を閉じて呼吸に専念する。 そして再び口を開き 「彼らは本能を壊されておりました。そういう風に躾けられたのです。あの者たちに寄り添わねば生きていけぬと刷り込まれ、いつしかそれが当たり前になっている。そう、我々生物が……持っているべき“生きたい”という本能を壊されていたのですッ……!」 恨みの隠った声が私の耳に届く。
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