ネコのコトノハ

6/12
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「別の種族では大人になった身でありながら言葉を喋れない者がおりました。幼少の頃より言葉を封じられ、喋ろうとするとぶたれていたようです。他の飼われた者たちを見ているとわかります。中には不自由を強いるように、口を固定し、開かないように何かが取り付けられているものもおりました」 彼女は咳き込み、吐血をしても、恨みのこもった言葉を止めようとはしない。 「私の母も飼われておりました。しかし、腹に子がいると解るやいなやこの土地に連れてこられ、置き去りにされたそうです。母は孤独でも立派に私たちを産み、私たち兄弟にキチンと狩りを教え、自立できるよう育ててくれました。そして、その後すぐに我々兄弟の目の前であの者たちによって殺されました」 悔しそうに顔を歪め、彼女はさらに続ける。 「私は悔しいのです。なぜ我々はこのような扱いを受けなければならない!?我らはあの者らの悦楽を埋めるための道具ではない!!あの者たちの母をいたぶる姿。今でも忘れることはできません!!!」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!