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だからまさか自分がそんなリセットの権利を得られるとは思っていなかった張本人が、そのスイッチを手に入れてしまった今では、そんな事ないよとこっそり主張したい。
案外知らないっていい事なんだよ、と。
雪って実は綺麗な物じゃなくて、たくさんの不純物が水蒸気に覆われているだけのものなんだよ、とか。
天才と言われている言葉の裏側には、一般と違うと線を引かれる意味が隠されているんだよとか。
別に一匹狼を気取っている訳じゃない。裏切られる事も、利用される事も知っているから、孤独になるしか守る方法がわからないだけなんだよとか。
最初から知っていると言っても人は必ず死ぬし、誰がどうやって死ぬなんて事はさすがに神様な事は知らないんだよとか。
大事な人を先に遺して死ぬ事だって、残されて死んでしまう事だって、覚えているんだよとか、色々。
本当に知りたいことは同じように知らなくて、中途半端にレベル上げをしたもんだから完全に1人なのは寂しいし、それなのに1人でも案外どうにかなってしまう。
これってもしかしたら雪と同じかもしれない。
最初は雪だと喜んでくれるけれど、降り積もれば色々と不便だし、障害も色々出てきてしまう。だから喜ばれるのは最初だけで、その内少し遠めに積もっていく雪を見ては「早く止んでくれないかな」なんて言葉を投げかけられる。
すごいと言われるのは最初だけで、その内異常性に気が付かれる。それでもいいよと言ってくれる人はごく僅かで、僅かな居場所を守るために必死になっているのも伝えられず、大事に思っている事は同じなのに、見ている景色が違うから同じ速度で歩いてもいつの間にか迷子になってしまう。
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