winter fall

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「……」 はっきりと告げられた言葉に驚いて言葉が出ないでいると、払ったつもりでもまだ残っていたのか、さっき横になった時に着いた雪の残りを払う様に手を動かし、視線が合うと微笑まれる。 「似てるからかな」 「え」 「あなたに」 いつの間にか音もなく私の近くにいて、白くて綺麗で、それで少し冷たい。 空を飛べてもきっと雪の始まりは掴めない。ほら、つかみどころがない所とかそっくり。 どこか別の世界に迷い込んでしまったかのような銀世界。不思議で目を丸くして色んな感想は言いたいのに、吐く息を白くして驚きを表現する事しか出来ない。 時々、すごく苦しそうに笑うところなんて本当に似ている。祝福されていないのがわかっている雪と同じ。 「それに時々……雪と同じように『自分の犠牲か刑罰かを抱いているみたい』に見えるの……」 ―それが自分の犠牲か刑罰かを抱いているように見える。― 最初に思いついた物語の一文と台詞が被り、ますます言葉が出てこないまま相手の顔を見続ければ、少し照れたように「言い過ぎかな」と舌を出して誤魔化している。 「私は帰りを待っているような立場だから、今まで大変だった事とか、外でどんな辛い事があったのかを想像するしか出来ないけど」 でも、私は帰りを待っているよ。 溶けて消えてしまわないように。万が一消えてしまってもまた季節が巡って出会えるように。 「他の人は鬱陶しいって言っていても、好きだから」 またにっこり微笑まれたけれど、それにも微笑み返す事が出来ずに背を向ける。 ここでありがとうと言えばよかったのか、うれしいと言えばよかったのか。結局どちらも口にする事が出来なくて、同じシーンを繰り返したとしてもきっと今と同じように何も言えなくて、少し後悔して。そうやってきっと同じような気持ちを持って死ぬんだろう。
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