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だから人は輪廻転生を願わずにはいられなくて、『もしも』の世界に憧れる。
そしてリセットのスイッチを手に入れてしまった今では、そんな事ないよとこっそり主張してきた。
だけど、今は少しだけいいだろうと自慢したくもなる。
人より知っているから、人より強いから、今度は守る事が出来るかもしれないと。
数はうんと少なくなってしまったかもしれないが、自分を大事に思ってくれる人が、傍にいるんだよと。
空を見上げれば雪の合間を縫うように星が光っている。
「……見えないかな」
「え?何が?」
あの話の最後はどんなものだっただろうと思い出そうとするけれど、もどかしくて切ない人間模様だった事は覚えていても、前と同じように難しくて切ない話だったという感想以上に、登場人物の全ての気持ちをわかる事なんて出来ない。でもそれでいいのかもしれない。
「……何でもない」
誰だって、何度繰り返したって、わからないものはわからない。
わからないから繰り返して、後悔して、切なくて、恋しい。
彼らの関係は最後まで友達以上恋人未満で、離れていても愛し合っている織姫と彦星とは違うと思う。現実(地上)では結ばれる事はなかったから、せめて理想(夜空)では結ばれたいとでも思っていたとしたら素敵な事だと思う。
「天の河が見えればいいのになって思っただけ」
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