第4章

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その時。 ――流れてきたのは、 笛の音。 力なく閉じていた紗羽の瞼が開く。 高く、 低く。 澄んだ音色が豊かに響き渡る。 「……博雅」 晴明が顔を上げる。 「その手があったか」 音楽も、 光と同じくまた波動。 波はそれ自体が力だ。 だから人々は、 神に、 霊に、 祈りと共に音楽を捧げるのだ。 御簾を潜って入って来た春花が、 紗羽の身体を晴明から受け取る。 そっとその頭を胸に抱え込んだ。 「春花?」 紗羽がその小さな顔を見上げる。 春花の胸から伝わる優しい鼓動。 染み入ってくる笛の音。 身体の中の餓えが、 満たされていく。 こんなにも……暖かく。
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