第3章

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「……放っておいてよ」 顔を背けて、 言う。 晴明がその横に膝をつく。 「お前を帰せるといいんだが……あれからいろいろ試してみたんだが、 うまく行かない」 本当に偶然に開いてしまった通路だったのだ。 どこに通じていたものやら、 辿る術もない。 「捕まえるつもりは無かったのに。 すまない」 晴明の肩に紗羽がそっと頭を預ける。 いいんだ、 と力なく薄く微笑んだ。 「あの時ここに落ちなかったら、 敵にやられてたと、 思う」 「……敵?」 紗羽の薄い唇を自嘲的な笑みが掠める。 長い長い戦いに敗れて。 時空の中を飛んで逃げている内に、 いつの間にか仲間ともばらばらになっていた。
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