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そう……誰も構いはしない――誰も自分を、
欲していない。
力なくもたれてくる頭。
晴明がその細い顎に指をかけて、
そっと唇を重ねた。
薄く瞼が開く。
「……晴明?」
「こうすれば、
少しはいいのか?」
「……うん」
本当は。
接触して得られる人の生体エネルギーなんて、
微々たるもの。
丸ごと喰わねば力になどならない 。
でも晴明のオーラは少し違うから。
傍にいるだけでちょっとだけ楽になる。
触れてくる唇が温かくて……嬉しくて。
黙って唇を受け止める。
「どうしてぼくを助けるの?」
繰り返される優しいくちづけの合間に、
紗羽が訊ねる。
「なんにも知らないくせに……後できっと後悔するよ」
「もう後悔してるさ」
いいから黙れ、
と晴明が再び唇をふさぐ。
ゆっくりと瞼を閉じた紗羽の腕が晴明の首を抱いた。
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