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「何で?」
神島仁は少し不機嫌そうな顔を作る。
予想してた私は怯むことなく続ける。
「だって部下がお昼に上司と部屋に二人きりなんてオカシイですし、私だって同僚に示しがつかないです」
私は此所に来るまでに考えておいた納得してくれそうな最もな理由を並べてみせた。
「誰かに何か言われた?」
神島仁が表情を窺うように訊いてきた。
なんと、鋭い。
「いえ」
内心はグラグラだが、私はバレないようにそれを笑顔で隠した。
神島仁は無表情だが、私の表情から感情を探ろうとしているのか、じっと私の目を見据えている。
視線を外すと感情を読まれそうで、私は笑顔を張り付けながら逃げずにじっと見つめ返した。
「……確かに莉緒の言う通りだな。これっきりにしよう。とりあえず食べようか」
その返答に私は安堵してホッと息を吐いた。
「莉緒、新しいチームはどうだ?問題は無いか?」
神島仁がお弁当を食べながら訊いてきた。
「流れで私がリーダーになりましたけど、まだ始まったばかりですし、今のところ問題は無いです」
私は強がって返した。
だって神島仁に弱音は吐きたくない。
ヤバそうな人達ばかりだけれど、とりあえず今は黙っておいた。
それから昼休憩が終わった後も私達のチームのやる気の無さは変わらずだった。
私は引き続き坂本君の真似をしながら必死にチームを引っ張っていく。
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