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「おはよう、早いね」
平静を装って笑顔で返した。
坂本君は私の事なんてただの友人にしか思ってない。
勝手に意識してるのは私だけ。
そう心に言い聞かせる。
「鈴宮もどうなったか気になって早く来た?」
「うん…坂本君も?」
「あぁ」
高校の時から責任感の強い坂本君。
やっぱり彼は変わらない。
「今日はよろしくお願いします、リーダー」
私は坂本君に頭を下げた。
「あぁ。俺達の案が通るよう頑張る」
私達のチームは坂本君がメインでプレゼンをする。
朝すぐにミーティングルームに全員で入ってプレゼン会。
先ずはAチームから発表した。
正直、全然形になってないし、見せ方も上手くない。
素人の私から見てもあまり良くないと思う。
これなら……
そして私達のBチーム。
坂本君は堂々とプレゼンをしている。
神島仁の顔色をチラリと窺うと、明らかにさっきと表情が違う。
「はい。両方のチームをお互い見終えて思うことはあるか?特にAチーム」
神島仁の言葉にAチームは誰も何も言えず、皆俯いていた。
「これは本番じゃない。だが請け負っている仕事だ。もっと良いものを作れたんじゃないか?」
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