2053人が本棚に入れています
本棚に追加
「……予定、あります」
とりあえず嘘をついてみる。
「じゃ次の日曜は?」
「……ありますって言ったら?」
私は神島仁の顔色を窺いながら言う。
「嘘はつくなよ?莉緒が蒔いた種だから、莉緒が責任取るべきなんだよ」
「え?どういうことですか?」
蒔いた種って……
貴方はいつも勝手に問題起こしてくるけれど私が何かしたっけ?
「麻耶が親父さんに俺と莉緒が付き合ってることを話したらしい」
「え。でも、それがどう責任取ることに繋がるんですか?」
私は理解出来ずに訊き返す。
「それが俺の祖父さんの耳にまで入っちゃったワケ。んで、祖父さんが莉緒に会わせろって煩いんだよ」
神島仁はあからさまに不機嫌な顔。
マジですか。
でも……
「じゃあもう別れたって言えば良いじゃないですか」
そんな不機嫌そうな顔で話すなら尚更別れたって言えば……。
「そしたらまた巡り巡って麻耶まで戻った時、面倒臭いことになるぞ」
た、確かに……。
「俺は別れたって言っても良いけど?」
ニヤリとわざとらしく口角を上げて笑う神島仁。
「わ、わかりましたよ!行けば良いんでしょ!」
最初のコメントを投稿しよう!