iNG.5

11/65
前へ
/884ページ
次へ
「……予定、あります」 とりあえず嘘をついてみる。 「じゃ次の日曜は?」 「……ありますって言ったら?」 私は神島仁の顔色を窺いながら言う。 「嘘はつくなよ?莉緒が蒔いた種だから、莉緒が責任取るべきなんだよ」 「え?どういうことですか?」 蒔いた種って…… 貴方はいつも勝手に問題起こしてくるけれど私が何かしたっけ? 「麻耶が親父さんに俺と莉緒が付き合ってることを話したらしい」 「え。でも、それがどう責任取ることに繋がるんですか?」 私は理解出来ずに訊き返す。 「それが俺の祖父さんの耳にまで入っちゃったワケ。んで、祖父さんが莉緒に会わせろって煩いんだよ」 神島仁はあからさまに不機嫌な顔。 マジですか。 でも…… 「じゃあもう別れたって言えば良いじゃないですか」 そんな不機嫌そうな顔で話すなら尚更別れたって言えば……。 「そしたらまた巡り巡って麻耶まで戻った時、面倒臭いことになるぞ」 た、確かに……。 「俺は別れたって言っても良いけど?」 ニヤリとわざとらしく口角を上げて笑う神島仁。 「わ、わかりましたよ!行けば良いんでしょ!」
/884ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2053人が本棚に入れています
本棚に追加