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疲れたし、言い争うのも面倒なので、私は素直に自分の手を神島仁の手の上に乗せて車から降りる。
「ただお酒飲んで話してるだけなんですけどね」
「誰もが簡単に出来ないから。これも大事な仕事。あ、これ褒めてるからな」
「…一応ありがとうございます」
褒められたことに少し照れながら答えると、私の反応を見てクスリと笑う神島仁。
「これから毎週金曜は空けといて。莉緒は強力な接待要員だから」
「わかりました」
こうやって人から頼りにされると神島仁でも嬉しいもんなんだな。
「今日、このまま俺の部屋に来れば良いのに」
「行きませんから」
「つれないな。じゃ明日迎えに来るから」
私の返答にクスクス笑って答える神島仁。
「わかりました、宜しくお願いします」
そう言って私は軽く頭を下げてから顔を上げると、私を優しい眼差しで見つめていた神島仁と目が合った。
「な、何ですか?」
その視線がむず痒くなり、私は視線を外しながら訊く。
「今日の服も似合ってる」
その声に顔を向けると、神島仁は満面の笑みで私に微笑み掛けていた。
「お休み」
「お休みなさい……」
無駄に端整な顔をしてるから変にドキドキする。
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