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「卒業式が終わったら、話したいことがあるんだ」
そう言って顔を上げた坂本君の頬は少し赤みを帯びていた。
私を見つめるその瞳には熱が宿っているように見える。
それって……
私の心臓は期待で速くなる。
「聞いてくれる?」
坂本君の問い掛けに、
「うん……」
私は即答で頷いて返した。
そんな私の言葉に安心したのか、坂本君は笑顔になって「良かった……」と呟いた。
「私も坂本君に話したいこと、ある……。聞いてくれる?」
そう言って上目遣いに彼を見ると、
「あぁ」
彼は頬を赤らめながら微笑んだ。
坂本君も私と同じ気持ちを持っていてくれている……。
私は彼の表情を見て、そう確信した。
私も合格して、笑顔で気持ちを伝えられたら……
そう思いながら合格発表の日までドキドキしながら過ごした。
それから四日後の合格発表当日。
昨日は緊張してあまり寝られなかった。
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