第1章=招き猫

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五月晴れの空の下、とある神社の境内で恒例の骨董市が開かれていた。 人口5万余りの地方都市、猫玉市(ねこたまし)。この神社は街の北外れの小高い丘の上にあった。神社の名は猫魂(ねこたま)神社、この街の名前の由来となった社だった。 その神社で毎月4日に開かれている骨董市に彼、投合平八郎(とうごうへいはちろう)20歳は、散歩がてらにぶらついていた。 「珍しいモノはないかな……」 こういう市は高価なモノは出ないが珍品が時々、掘り出し物で出る事があるからだ。 招き猫ばかりが並ぶ出店があった。この猫玉市は招き猫の一大産地でもある。 がこの出店の招き猫達はかなりくたびれた感じで、骨董というよりも粗大ごみに近いだろう。 「ん、なんだか奇妙な招き猫だな……」
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