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それは、突然だった。
───どうして、俺はこんな所に…
何時もの仕事を終わらして、見慣れた帰り道を歩いていた。
そこまでは、覚えている。
だけど、その後の記憶が全くない。
───何だ、これは…
頭のつむじ辺りに痛みが走り、それによって覚醒する意識。
身体を起こし、窓に叩き付ける雨の音を聞きながら目を開けると、そこには───
───分からない
荒らされている、見知らぬ部屋。
首を吊っている、白いワンピースの見知らぬ女性。
女性の足下に転がる、血塗れの見知らぬ男。
そして、自分の右手に持つ、血に塗れた包丁。
───分からない
暗闇が支配する空間、雷の光によって照らし出された目の前の惨状に混乱する中、雷と雨の音に混じって近付いてくるパトカーのサイレンを聞き流しながら、一つの答えに辿り着くにはそう時間は掛からなかった。
───あぁ、そうか…
───俺は…
───嵌められたんだ。
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