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そう言ってスキップしながらキッチンの方へ行ったかと思うと、手にチケットをひらひらさせながら戻って来た。 「じゃじゃーん。映画の試写会が当たったのよ。ホラ、これ。舞台挨拶もあるの」 「誰の?」 わかりきったことを、と思いながらも、佐藤は美智子の笑顔をもっと見ていたくて尋ねた。 美智子は佐藤の予想通り満面の笑みをたたえて嬉しそうに佐藤をじらした。 「ふっふっふっ。誰だと思う?」 「……翔太」 「当たりィー。あー、楽しみ」 美智子はにやにやしながら佐藤にチケットを見せびらかした。 佐藤にとって七つ年下の美智子は、だいたいが可愛くてしょうがないのだが、この年になっても、昔と変わらず喜びを素直に表す美智子を微笑ましいと佐藤は思っている。   「ところがね、のりさん。この試写会、休日にやるのよ。一緒に見に行かない?」 ペアで当たったというそのチケットを見ると、確かに試写会は今度の日曜日になっている。
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