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言われた場所に行ってみると、宴はすでに佳境を迎えていたようで、程よく盛り上がっている。
優香は何となく場違いな気がして白けてしまった。
香織が気を使って、皆に優香を紹介してくれるのだが、優香は全く雰囲気に乗れない。
そのうち一人の男がやおら話を始めた。
「この前さ、通勤電車で痴漢と間違えられてさ~、前にいた女の人がジロって睨むんだよ。
ああいう時ってどうやって無実を証明すりゃあいいのかねぇ。降りるまでホント居心地悪かったよ」
すると彼の友達らしい男が反応した。
「ひどいね、須崎が痴漢なんてするはずないじゃん? オレならともかくさ」
香織はそれを聞いてビックリしたように反射的に問いただした。
「え? 痴漢したことあるの!?」
すると彼は陽気に笑いながら、
「ないないない。そんなまどろっこしいことしない。オレなら正々堂々と女を口説く!」
と、ほとんど自慢するように高らかに言い出した。
香織がからかうように問いかける。
「何、電車の中でいきなり口説くの?」
男はちょっと考えて答えた。
「あー、そうだね、やったことないけど、そういうのもアリかもね。ムラムラっとしたら、触るだけとかじゃおさまんねーよなぁ……?」
同意を求めるように、先ほどの須崎とか言われた男に目を向けると、須崎は慌てた。
「オレはそんなこと、しないよ! 女のコの前で、そういうしょーもない下ネタやめろ」
「悪い。確かに口が滑った。ちょっと飲み過ぎたかも」
大して悪びれた様子も見せずにその男は言った。
香織がさらに大胆に尋ねる。
「じゃあ、電車の中で何て口説くの? ムラっとしたからやらせて下さいって言うのー?」
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