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香織もかなり酒が入っているのか、男を挑発しているような少々えげつない聞き方だ。
それでも男は大して気にした様子もみせず、またちょっと考えるような仕草をして、しれっと言った。
「そのカラダ、魅力的すぎて目が離せないってね」
そう言いながら、優香の方をチラリと見てさっとウィンクをした。
香織が彼を面白そうに眺めて、
「何、圭太君って肉食系?!」
と聞けば、須崎が合いの手をいれる。
「そうなんだよ~、コイツ、おっとりしてるように見えるけど、結構攻めるんだよね」
機嫌の悪かった優香は、一連のやり取りが鼻についてしかたがない。
その圭太とかいう男に絡み始めた。
「へ~、圭太くんはやりたくなったら誰かれ構わず口説くんだ~。やろうぜーって。まるでケモノだね」
圭太は、妙に意地の悪い優香の口調にも全くひるむ事もなく、優香を見てニコッと笑った。どちらかというと端正な顔立ちの圭太が人なつこく笑うと爽やかな好青年そのものだ。
「誰かれ構わずなんてしないでしょ。やりたいなーと思う人だけ。そういう人がいればオレは果敢に攻めますよ」
その爽やかな笑顔とは裏腹に、身もふたもない事をあまりに堂々と言うので、その自信に満ちた態度がさらに鼻について、優香はますます不機嫌になった。
香織は感心したように声をあげた。
「なんか……肉食系だねぇ。いやあ、そんなことはっきりと言う男子見たの、久しぶりだわ~。最近は、『そんながっついたらみっともないですよ』なんて言うのばっかりだからさー」
これを面白そうに聞いていたもう一人の女が調子に乗って、その圭太に聞いた。
「ねえ、じゃあさ、この中に口説こうかな、って思う人いる?」
間髪入れずに圭太は答える。
「うん。優香さん」
いきなり自分の名前が挙がって優香はぎょっとした。
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