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「30女捕まえて可愛いとか言わないでくれる? 大体私は数合わせに呼ばれただけなんだから、そっちで盛り上がってなよ」
ぶっきらぼうに言ったつもりだが、全くめげない圭太はやっぱり人懐こい笑顔をみせながら優香をあやすように話し続けた。
「30だって何だって可愛いいもんは可愛いいんだから、笑ってよ。ね?」
圭太は優香のほっぺたをぽよんとつまんだ。
「ね?」
促すようにもう一度優香の顔を覗き込む。
優香は慌てて顔を逸らして下を向いた。優しくされればされるほど、子供じみて不機嫌になっている自分が情けなくなってくる。
優香は惨めさのあまりあやうく涙を落としそうになったが、意地で踏ん張った。年下(らしき)の男に優しくあやされて涙をこぼすなんて彼女のプライドが許さない。
そんな二人のやり取りを遠巻きにながめながら、須崎が言った。
「圭太ってあの調子で口説いちゃうんだよね」
香織も感心しながら相づちをうった。
「何かわかる気がする……。あんなこと言われたら、普通の女なら絶対参るわ」
「でも、あれで二股とかはないんだよな」
須崎が言うと、もう一人の男もうんうんとうなずいた。
「そ、手が早いくせに、いっつもきれーに付き合って、きれーに別れるんだよなぁ。あれも才能だよね。
アイツ、別れた後に、元カノから誕生日にプレゼントもらったりするんだぜ。
一体どうやったらそんなことが出来るのかねぇ。爪の垢でももらいたいもんだよ」
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