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月曜日、優香は落ち着かない。 優香は、どこかやさぐれた気持ちで圭太と関係を持った。圭太だって、どうせ遊び半分だったに違いない。 そんな風に思ってみても、圭太の優しさに触れて、優香は後ろめたい気持ちで一杯だった。 それなのに…… 出勤途中、コーヒーショップの前を通りかかると、優香の目はやっぱり佐藤を探している。 圭太はあんなに情熱的に愛してくれたのに、優しく愛撫してくれたのに…… それなのに、我知らず佐藤を求めてしまう自分がいる。 佐藤には、妻がいる。それも愛妻。 佐藤を求めるなんて不毛だ。大体、佐藤なんて、ほんの何回かコーヒーショップで顔を合わせて、軽い話をしただけではないか。 だから…… のめり込んでしまう前に圭太を好きになればいいのだ。圭太はタイミング良く現れた優香の救世主に違いない。 …… コーヒーショップを通り過ぎた後も 職場に向かいながらさりげなく辺りを見回した。 朝は何時ぐらいに出勤してるんだろう……? そういえば、出勤の時に会ったことは今まで一度もなかった…… そんなことを思い返して、優香ははっと我に返る。 なんで! なんで、佐藤のことを考えていたんだ? 今の今、圭太を好きになればいい、って自分に言い聞かせていたところだったのに。 オフィスに向かう足取りが一気に重くなる。 しかし、仕事は待ってくれない。 結局、金曜日に早く切り上げてしまったこともあって、その日は処理しなければならないメールや書類のチェックに追われた。 気づいた時は、夕方の5時をとっくに回っていた。
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