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「あーあ……なんでやっちゃったんだろう……」
優香は、圭太に腕枕されながら、天井を見てため息をついた。
圭太といると、つい彼のペースに巻き込まれて気がつくとベッドにいるような気がする。圭太はそんな優香の髪の毛をかきあげながら大げさに自慢した。
「そりゃー、オレのカラダのとりこなのさ」
「もう! そうじゃなくて。そうじゃなくて……」
優香は言葉が続かない。
こうしている時も、頭の片隅で佐藤のことを想っていた。それでもずるずると圭太を受け入れてしまう自分にどうしようもない嫌悪感を感じる。
圭太は、しょうがないなぁといった顔をしてなぐさめてくれた。結局のところ、圭太はとても優しい人なのだ。
「また落ち込む~。こんなことで落ち込むなよ、オトナなんだから、こうやって慰めてもらったっていいんじゃない?」
「こんなこと? だって、いい大人が、こんな女たらしに弄ばれちゃって、落ち込むでしょ。一度ならず二度までも」
冗談とも本気ともつかないような口調でため息をつきながら言う。大げさにガッカリしてみせたせいか、圭太もむきになって答えた。
「弄んでないよ。優香さんがいいんだよ」
「……そうやって女を口説いてるんだ」
「女を、じゃなくて優香さんを口説いてるの」
「確かに、女をいい気にさせるのだけはうまいわ、アンタ」
「だから、女じゃなくて、優香さんをいい気にさせたいの。少しは嬉しそうにしてよ。オレ、真面目に口説いてるんだよ」
圭太は軽く怒ってみせる。だって、とさらに優香が反論しようとするが、圭太はまたキスをしかけてきた。
「好きだよ、優香さん」
甘い言葉ととろけそうなキスに悪酔いしそうな優香である。
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