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それから優香は一心不乱に仕事に打ち込んだ。 はっと気づいた時には、とっくに夕飯を食べる時間を過ぎていた。 昼にちょっと休憩所に置いてあるバナナとパンをつまんだだけで、一日ロクなものを食べていなかったので、お腹がぐうぐうなっている。 優香はちょっと一息入れようと、コーヒーショップへ足を運んだ。 サンドイッチでも軽く食べるつもりで。 店に入るところで、佐藤とばったり会う。 こんな日に限って二回も。 すでにコーヒーを手にしていた佐藤は、店を出るところのようだった。 「あ……佐藤さん」 続ける言葉を失い、絶句していると、佐藤はにっこりと笑った。それは優香の見慣れた穏やかで優しい笑顔だった。 「小泉さん、なんだか今日はよく会いますね。並びますか?おつきあいしますよ」 この一言で、ギクシャクしていた朝の雰囲気が吹き飛んでいつもの空気に戻った。 優香もゆったりと笑って 「本当ですね。佐藤さんも職場を抜け出して休憩ですか?」 「そう。何だかね、ちょっとゴタゴタしてて今日は長引きそうだから。そういう時は、ついついここへ来てしまうんだなー」 「ふふ。私と一緒。新しい案件があるので、今日は気を引き締めてがっつり仕事しようと思って、カフェイン注入しに来たんです」 鼻息粗く闘志を燃やす優香の顔には力強さがみなぎっていた。 「それは頼もしい。頑張って下さい。応援してますよ」 「……ありがとうございます。佐藤さんに応援してもらえて嬉しいなあ。今日は徹夜も出来そう」 「徹夜ですか。若いなー」 佐藤の言葉に、二人は顔を見合わせて笑う。それから、優香はふと真面目な顔になった。
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