8

18/22
682人が本棚に入れています
本棚に追加
/133ページ
匠はたばこに火をつけると、深く吸った。 「俺、捨てられるのかな…」 ぽつりと呟いた匠の言葉は煙と共に消えていく。 「景がいなくなるの、…やだな。」 弱ったように呟く匠を俺は初めて見た。 「あのさ…、そう言うときはこう言うんだよ。好きです、つきあってください、って。」 俺は呆れて言った。 「好きです。つきあってください。」 匠はそのまま復唱した。 「いいよ。」 たばこを揉み消し、匠は俺を引き寄せた。 「ほんとに?」 「うん。後、こう言って?二度と浮気はしません。景だけを大事にします。」 匠はじっと俺の顔をのぞき込むと、真剣な顔で口を開いた。 「二度と浮気はしません。景だけを大事にします。」 「…ほんとに?」 「え?」 「本当にそんなこと、出来る?」 俺が言わせた言葉だけれど、匠がそれを実行できるとは思えない。 「出来るよ。」 そう言う匠を、俺は不信感いっぱいの顔で見つめた。 「なあ、景。今までのは全部お前の代わりだったんだよ。景が俺のそばにいてくれれば、もう他に手を出すなんてしないよ。」 「………まあ、信じてやってもいいよ。」 渋々、俺が頷くと、匠は満面の笑みになった。 「よし!じゃあやろうか!」 「へ?」 「セックスしよ。俺、この一週間、お前に手を出さないようにするの大変だったんだ。なあ、いいだろ?恋人になっての初めてのセックス…。今夜は寝かさないよ…」 うきうきと俺の腕を引き、ベッドへ押し倒す。 匠ってこんなキャラだっけ…?
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!