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「今日から大事に抱いてやるから。可愛い声で啼けよ。」
「ふっ…。なにそれ…。あいかわらず…」
苦笑いを漏らす俺の唇は、すぐに匠によって塞がれる。
彼の舌が奥へ奥へと探るように入ってきて、俺はすぐにその口吻に溺れた。
好きだという気持ちを隠さなくてもいいセックスは、俺に今まで感じたことのない快感を与えてくれた。
見つめ合い、指を絡ませ、時々微笑み合う。
「好きだよ。匠さん。好き…」
はにかみながらそう言うと、匠も微笑んでキスをくれる。
彼の背中に手を回し、そのたくましい背筋を撫でる。
「やっと俺のものになった。」
優しい動きの合間にそう囁かれ、ぞくぞくと背筋に快感が走る。
俺だってずっと匠が欲しかった。
欲しくて欲しくて仕方なかったけれど、無理だと諦めて手放した。
もう二度と触れあうことはないと覚悟したその身体が、今、俺を上から抱きしめている。
知らない間に、涙が流れ、こめかみを濡らした。
「俺、あんたのこと絶対に離さないから。」
「ああ。」
「浮気も許さない。俺だけのものだ。」
「そうだな。」
俺のわがままに、匠は優しく微笑んだ。
「好きだよ。匠さん。ずっと、ずっと…欲しかった。」
くしゃくしゃの泣き顔で彼を見上げた。
唇が近づいて触れる寸前、彼が囁く。
「初めて見たときから、お前の虜だ。」
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