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第1章 すべての始まり
気が付けば、俺は水の中にいた。
遠くに見える水面からは日の光が差し込み、緑色に濁った水中を照らす。
周囲を見渡すと、折れた木の枝や葉が水中を漂っていた。
そして、背後には光の届かない巨大な暗闇が呆然と広がっている。
底さえ失った深い暗闇。
時間が静かに流れている。
俺はその時間に身を委ねて、ゆっくりと暗闇へ沈んでいく。
…
……
「~!」
声が聞こえる。
誰かが俺を呼んでる。
会いたい。
呼んでくれている人に、会いたい。
とたんに、暗闇が恐怖に感じた。
このまま沈んだら、帰れなくなる。
ゾクリと背筋が凍る。
水面の方へと体をもがくが、思うように進まない。
体は今も尚沈み続ける。
視界が暗闇に包まれていく。
徐々に水温も下がり、体を冷たくしていく。
もう…
あきらめかけたとき、わずかに見える水面に何かが飛び込むのが見えた。
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