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一人きりになった蓮は床に仰向けに寝転びながら三島から受けとった紙を眺めた。
――『料亭 菊乃』
きいたことのない店だ。
それは、有名店でないとかそういうことではなく、逆に、高級すぎて蓮とは関わりようがない店、ということだ。
「菊乃、か…」
その発音に、蓮は思うところがあるようだった。
しかし蓮はすぐにその思いを払拭するように一つ伸びをして上体をおこした。
「いつまでもぐうたらしているわけにはいかないか…」
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