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十一件の殺人を犯した犯人は、名を神山時男といい、警視庁で働く三十代の男性警官だった。
殺され屋の存在や、ガレがターゲットになりすましていたことなどの情報はつつぬけだった可能性があるが、蓮とは面識はなく、取り調べで、神山もそう言っており、なぜ殺人のターゲットにしたのかは黙秘して答えなかった。
「一体なんだったんでしょうね、今回の事件は」
命に関わる事態にまきこまれたのに、蓮はもう立ち直っていた。
「さあな。それより、問題は、ロートスという男だ。殺人を止めたいのか止めたくないのか、行動の意味がわからない。三島の手のものらしいのはわかっているのだが」
その時、部屋の扉からノックの音が響いてきた。
蓮が扉をあけると、三島の姿があった。
「ちょっと言い訳しにきたんだけど、きいてくれる?」
そう言って三島は胡散臭い笑みをうかべる。
蓮がガレの方を振り返って是非を問うと、ガレはふいとそっぽをむいてしまった。
「入っていいってよ」
蓮がそう言って道をあける。
「そう。よくわかるね。あうんの呼吸っていうやつ?夫婦みたいだねえ」
そう言って笑いながら、三島は室内に入る。
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