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翌日、蓮が、料亭菊乃におもむくと、和服の女将に個室へと案内された。
そこには、三島の姿と、その隣に、見知らぬ女の姿があった。
「お見合いでもさせるつもりか?」
蓮はそう言っておどけるように笑う。
しかし、三島は難しい顔をして蓮に座るよう促しただけだった。
しばらくの沈黙のあと、三島が言った。
「俺の仕事の一つはこの人なしには務まらなくてね。その仕事を卯野にも手伝ってほしいんだ」
「はあ…」
面倒な仕事は御免だとばかりに蓮が気のない返事をすると、女が蓮をきっと睨みつけて言った。
「こんなやつ、猫の手ほども務まらないんじゃないか」
「はあ?」
思わず蓮の口から怒りの疑問符が出た。
女のくせに、全く可愛いげがない。
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