28人が本棚に入れています
本棚に追加
Nishijima side
目の前に現れた君は、あまりにも突然で。
離れた時間が長すぎて、逢いたかったはずなのに
いざ目の前に現れるとどうすればいいのか分からなくなる。
…本当は君では、ないんだけど。
「…西島、くん?」
そう、僕を呼ぶ声。
「……泣いて、るの…?」
「え…うわっ、まじだ…」
いつの間にか、涙が出てた
「あ、そうだ! 私のオススメの場所、紹介してもいい?」
「オススメの、場所…?」
「そう。ついてきて!」
「え?」
「ほら、早く!」
その言葉も、手を引く仕草も。
その何もかもが、初めて出逢った日の君と同じで何がなんだか分からなくなる。
今目の前にいる君は、あの日の君…?
そんな、ありもしない考えでさえ頭をよぎる。
僕が目の前にいる彼女を、君に重ねているのは、ただ彼女が、君と僕の始まりに似ていただけだったからなのかな。
最初のコメントを投稿しよう!