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「もしかして私をお迎えに来たのですか?」
「へ?」
嬉しそうに突然そんなことを言われたものだから、私の方が驚いてしまって、余計に何を話すべきか困ってしまうと、女性はまた満面の笑みを見せてくれた。
「なーんて、丁度今読んでいた話がそんな夢物語だったんですよー。ふふ、ごめんなさい、ゆっくり見て行ってね」
「ありがとうございます」
明るくて元気で、何かわからないけれどとても魅力のある女性。
慌てて幾つもの棚を見て回り、無駄に中を二周も歩き回ってから店を出た。
私は一体何をしているのだろう。
自分がいるべき世界へ戻りながら、緩む頬に力を入れることに必死になっていたっけ。
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