最後のワガママ

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それからの私は今までよりも数倍忙しくなった。 時空の旅は全くできなくなってしまったが、それでも毎日女性、サクラは傍にいて、何事にも真剣に取り組み、何でも学び、そして吸収していった。 あの日の涙の訳を話すこともせず、ここへ来ると宣言した理由も話すこともせず、何より私のことそしてこの世界のことを何も疑わず探ることもしなかった。 私の両親には勿論、寝不足になるほどの説教を受け、何度も返してあげるように言いつけられ、試みようとした。 しかし彼女はその数倍の知識と行動を見せ、私たち家族の関係から心を掴み、そして国の繁栄をも手助けするようになった。 だからこそ、両親は何も言わなくなり、逆に色々な事をここで留め、妃に迎えてみてはどうかと話し始めてしまった。
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