オカメさん

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 それから何日か経ち。  いつものように部屋でオカメさんと歌っていると、両親が何かガタゴトと大きな音を立てているのに気づき、なんだろうかとドアを開け――次いで口が開いた。 「な、ななななんで」 「ふふふ」 「ふははは」  父も母もニヤニヤしていた。  二人が運んできたのものは、ピアノ――これは電子ピアノか――だったのだ。 「母さんから、桃香がピアノに興味でたって聞いて、父さんボーナス使って買ってきちゃったぞ~」 「ええええ…」  私は固まっていた。  陽気な父に、母は「キャー、パパ素敵!」などとはしゃいでいる。    どう喜んでいいかわからなかった。  わからなかったが、こうして私は、ピアノと出会った。
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