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「桃香はもうピアノ弾いてないのか」
「ええ…あれ以来ずっと――」
廊下から、寂しそうな両親の声が、どこか遠くの世界から聞こえてるかのように、聞こえた。思考が止まっていて、私の時間は止まっていて、何を言われているのかわからなかった。
ピアノなんてもう弾かない。
オカメさんが歌ってくれないピアノなんて。
「オカメさん…オカメさん…どうしていなくなってしまったの…」
頭の中は、羽をぱたぱたさせて、楽しそうに歌うオカメさんでいっぱいだった。
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