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そして、今日。
夜半、催して目覚めたエンキが立ち小便をしている時、それを見たのだ。月光に照らされながら、落ちてくる白い何かを。一瞬にして落とし物だと悟った。
それからのエンキの行動は早かった。小便もそこそこに切り上げて、一張羅を自称するオレンジのツナギを着込み、トレーラーに乗り込んだ。最初から、アクセルは全開。
このトレーラー、最低限の機能しかないボロのくせに、維持費が飯代よりも高くつく。その上、まだローンも残っているし。
それでも手放さなくて正解だったと思った。全ては、今日のため。
「今日はっ! 最っ高の日になんぜ!」
夜明けの砂漠、空は瑠璃色。
一台のトレーラーが少年の期待を乗せて、疾走する。
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