38人が本棚に入れています
本棚に追加
「燈路、おまえ、また余計なこといったんじゃねえのか?」
「おいおい、なんでそうなる」
「仁がおかしい」
「そりゃ、おまえのせいだろ」
ケラケラと笑う燈路に、瀧川は鋭い視線を浴びせ、再び仁の顔を覗き込んでくる。
まったくもって、厄介だ。
にやにやと嫌な笑みを浮かべている燈路と、見たこともないくらい甘い顔をして自分を見つめる瀧川。
どうやらこの状況、慣れるには随分と時間がかかりそうな予感がする。
「おい、どこいくんだよ?」
居心地の悪さから立ち上がった仁に、瀧川が声をかける。
「トイレ」
「俺もいく」
「・・・・トイレくらいひとりでいかせろよ」
呆れた表情の仁の肩に、当たり前のように手を回し、瀧川はにやりとした笑みを浮かべる。
「一年分は取り返さないとな」
ひさしぶりに見た、その不敵な笑みに、なぜだか胸が疼いた。
最初のコメントを投稿しよう!