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ことの起こりは半刻ほど前。 いつものごとく夜更けの花街のはずれに、ぼんやりと立っていた。
『なんだ? ガキがこんなとこに一人で。 とっとと家に帰んねぇと、母ちゃんにしかられっぞ』
酒臭いおやじが、ふらふらと千鳥足で近寄ってきた。
私は笑って答える。
『お金さえ払ってくれれば、好きにしていいんだよ? おやじさん』
『はぁ? 何言ってんだ? いくつだよ、お前』
『じゅうに!』
無邪気な笑顔をつくって言ったら、相手の目の色が変わった。
『ちょっと譲ちゃん、こっち来るか?』
私は、こくりと頷きながら内心、心を躍らせる。 やったぁ! いっちょう上がりっ!
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