第一話 僕、銀行強盗します

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連日取り沙汰される、年末に良く見る銀行強盗のニュース。 年末を月末に控え 浮かれる人も居れば、年の瀬に追い詰められる人だっている。 僕は後者だ。 17年生きて来て、今が一番、不幸の絶頂にいる。 何で生まれて来たんだろう。 こんな人生だと知って居たら、僕は生まれてなんか来なかったのに。 顔を隠す為に、黒のニット帽を被り 100均で買ったサングラスに、使い捨て黒いマスク。 服は目立たなくて、動きやすい恰好をして。 思い付く限りの武器で、家から出刃包丁を持って来た。 今その出刃包丁の刀の部分をハンカチで巻いて、ズボンの中に隠し持っている。 銀行が閉まる15時まで、あと15分。 閉店間際に乗り込んで、あの銀行の全財産を奪ってやる。 僕は、路地裏に息を潜めて決行の時を待っていた。
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