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「いまの話を訊くと、おまえ、まだ誰にも声かけられてねえんだよな?」 「うん」 「じゃあ、俺が一番最初か?」 「そういうことになるけど・・・・って、あれ」 「そういうことだろ?」  にやりと笑った浅井の顔を見ながら、おもわずぽかんと口を開けて固まった。  たしかにマヒトは知り合い以外、とは言っていない。  だけどこの展開。  こんなのってアリか?  放心状態の燈路の手を掴んだまま、浅井は「さてと・・・・」と、小さく呟いた。 「行くか」 「どこ行く気?」 「俺んち」 「・・・・マジ?」 「マジ」  燈路の腕を引きながら、浅井はなかなかの男前の顔でいままで見たことがないような笑顔を浮かべた。 「知らねえヤツにヤラれるよりはマシだろ」 「アンタなにする気だ?」 「イイコト」 「おいおいおい」 「刺激がほしいんだろ?」  その言葉と、浅井の挑発的な視線に、おもわず眼を見開いた。  引かれるままに歩きながら、燈路は天を見上げた。  その瞬間に見えた星空。  夜空に散りばめられた星に、不思議と心地よさを覚えた。  胸に響く疼き。  それは求めていた刺激。  握り拳で、自らの胸をトンと軽く叩いた。  掴みかけている。  確実にココに感じる、刺激。  前を歩く浅井の後姿を見て、意味もなく小さく笑った。 『刺激がほしいんだろ?』  ポケットの中で、コインが小さく音をたてた。
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