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彼女とのその会話から、しばらくは何事もなく過ごしていたのだが、再び彼女の夢を見る。さすがに二回は騙されないぞ、とはやはり夢の中では思えなくて、僕はまた彼女の映像を見つめることになってしまうし、僕がその映像に出てこないことを「当たり前ですよね」と思ってしまう。
映像は、彼女の両親と彼女と彼女の妹の四人が食卓を囲む様子を、ちょうど真横から見ているものだった。左側手前から父親、母親。右側手前から彼女、妹という配置。普段聞くところによるととても仲が良いらしくて、家族四人で旅行したときの写真を彼女に見せてもらうことも多い。
でも何か様子がおかしい。家族全員、ずっと無言で食事をしている。彼女に見せてもらう写真からは、僕はもっと、明るく楽しい家族像をイメージしていたのだけど、今見ている映像はそのイメージとは全く違う。というかなんか怖い。
と思っていたら、映像がだんだん奥に移動していったので、何が来るのだろう、とやや身構える。テーブルの奥には棚が置かれていて、その上には家族四人で撮った仲睦まじい集合写真が写真立てに入れて飾られている。そこに映っている父親らしき人物は、僕が知っている彼女の父親とは似ても似つかない別人だった。
「え、誰?」
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