部屋

2/10
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
目を開けると、そこには 「…はっ?」 思わず間抜けな声が漏れる。 何も、何もない。 ただの部屋。 壁、天井、床。 それだけの、ただそれだけの部屋。 真っ白で、無機質で。 寂しいという言葉すらも、似合わないと全否定しているような。 音も、色も、温度さえも。 まるで何もかもを捨ててしまって、自分さえをも見失ってしまった。 そんな、哀しい部屋だ。 「ここは…?」 『おや、目が覚めましたか』 どこからだ。 驚きながらも、探るように辺りを見回す。 スピーカーなんて、どこにもない。 声がどこから聞こえてくるのかさえもわからない。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!