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目を開けると、そこには
「…はっ?」
思わず間抜けな声が漏れる。
何も、何もない。
ただの部屋。
壁、天井、床。
それだけの、ただそれだけの部屋。
真っ白で、無機質で。
寂しいという言葉すらも、似合わないと全否定しているような。
音も、色も、温度さえも。
まるで何もかもを捨ててしまって、自分さえをも見失ってしまった。
そんな、哀しい部屋だ。
「ここは…?」
『おや、目が覚めましたか』
どこからだ。
驚きながらも、探るように辺りを見回す。
スピーカーなんて、どこにもない。
声がどこから聞こえてくるのかさえもわからない。
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