第3話

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 カイソンが肩を貸した。  「足をやられた。これじゃあもう飛び跳ねることはできねえ」  「えっ」  カイソンは目を見開いた。  「お前がここまで優勢だったのは、すげえ飛び跳ねる力で、黒ずくめの攻撃を全部かわしてきたからじゃん。飛び跳ねることができなくなったら…」  カイソンは顔面が蒼白になった。  「もう、お仕舞いってことか。俺たちに勝ち目はねえ」  カイソンは頭を垂れた。  「すまねえ。俺がでしゃばって助太刀なんてしようとしたばっかりに、とんでもねえことになっちまった」  カイソンは首を振った。  「いや。謝って済むことじゃねえな。俺たち、黒ずくめに殺される。二人一緒に、ここで死ぬんだ…」  「はは」  ウシワカが笑った。  「何がおかしいんだよ」  カイソンは、目に涙が溜まっている。  「はは。大丈夫だよ。俺にはまだ、奥の手がある」  「奥の手?」  ウシワカは黒ずくめに向きなおった。  「おい! そこの黒ずくめ。よく聞け」  黒ずくめは黙ったまま、三つの目をウシワカに向けた。  「物の怪か何かに取り憑かれて正気じゃねえならいざ知らず、正気ならお前は俺のことを知っているはずだ」  ウシワカは笑みを浮かべた。  「その上で言うがな。俺は尋常の人間の道を外した、ろくでもない人間だ」  (ろくでもない人間? 何を言うつもりだ)  肩を抱くカイソンがウシワカの横顔を見た。
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