24人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょっと、ユキ! 近すぎよ、離れて! 圭は私の彼氏なんだから!」
ぎろりと睨みつけてやったのに、ユキはまるで『聞こえてません』とでも言いたげに、つんと澄ましている。
「むむ……手強いな」
ユキが圭から離れるつもりもなさそうなので、私は仕方なく、ユキと反対側に腰をおろした。
もちろん、圭にべったりとくっついて。
「うーん、ミカ、ちょっと狭いな」
圭が苦笑いを浮かべて言うので、私は絶望的な気分になる。
「なんでユキは座らせてるのに、私には狭いとか言うの!」
私は頬をふくらませ、唇を尖らせて反論する。
圭が「仕方ないだろう」と眉をさげた。
「ほら、ミカはこっちにおいで」
そう言って圭が指差したのは、自分の脚の間。
つまり、ソファから降りて床に座れと言っているのだ!
さらにむっとした私に、圭が優しく笑いかける。
「髪、乾かしてあげるから」
圭は右手にドライヤーをもって、ちょいちょいと振ってみせた。
その瞬間に私の怒りも悲しみも吹き飛ぶ。
「乾かしてくれるの!? やったあ♪」
私はソファから飛び降りて、圭の足の間に座り込んだ。
私は圭に髪を乾かしてもらうのが大好きなのだ。
最初のコメントを投稿しよう!